漫画の文字数について
漫画には、「読みやすい文字数」が存在します。
「読みやすい行数」も存在するので、覚えておくと創作に役立つでしょう。
創作をしない方も、覚えておくと、作家の努力が分かるようになります。
《横読み漫画の文字数》
・1行8文字まで
・4行以内
※これを超えると読みづらい。
《縦読み漫画の文字数》
・1行10文字まで
・3行以内
※これを超えると読みづらい。
横読み漫画のセリフは、「1行8文字まで」「4行以内」が基本となります。
横読み漫画は、読者の視線が「右から左」へ動きやすいです。
そのため、文字数の多いセリフは、分割して行を増やした方が、読みやすくなります。
(吹き出しを、横に広げるイメージです)。
ただし、行数には限界があり、4行を超えると読むのが辛くなるでしょう。
行数が多過ぎて「うっ…」となる漫画を、読んだことはありませんか?
設定を作り込んだ漫画で、よく見る現象です。
もう少し詳しく言うと、「オチから逆算して漫画を創作する」と、どうしても説明っぽくなりやすいとされます。
《行数の例外について》
例外的に「凄く面白い文章」なら、行数が増えても苦痛を感じません。
そのレベルまでいくと、絵が無い「小説」や「脚本」の世界でも食べていけそうです。
例えば、手塚治虫の名作「ブラックジャック」は、セリフの行数が多い漫画となります。
行数は多いですが、丁寧に磨かれたセリフによって、次々に読んでしまう漫画です。
「絶対に4行!」という訳でもない点に、ご注意ください。
縦読み漫画は、読者の視線が「上から下」へ動きやすいです。
そのため、セリフの行数を減らし、縦長にした方が読みやすくなります。
縦読み漫画の場合、横に広がる吹き出しは、読みにくいです。
読者のリズムを、横長セリフで意図的に狂わせて、次のコマで急展開させる…という手法も可能かと思います。
ただし、最初はセオリー通りの文字数で、描くのが無難です。
漫画は基本的に、文字数が少ないほど読みやすいです。
漫画のジャンルは、「エンターテインメント(娯楽)」となります。
なので、読者に「読んでいて疲れる」と思われるのは危険です。
「何も考えずボーと読むだけで楽しい」が、漫画の理想と言えます。
そのために、余計な文字数は削ってしまいましょう。
具体的な方法を、まとめてみます。
《文字を絵に変換する》
文字の幾つかを、絵に変換する方法です。
絵で表現した部分は、文章を減らせます。
作家側も、絵に変換した方が、楽しかったりしますね。
職業マニュアルを、「文字」から「絵」に変換した結果、従業員の飲み込みが早くなった、という話も聞いた事があります。
「絵の効果」というのは、とても偉大です。
《コマ数を増やす》
コマ数を増やすと、1コマの文字数が減ります。
例えば、「1コマに40文字入れたい」としましょう。
「多過ぎて読みにくい…」と感じた時は、「1コマ目20文字」「2コマ目20文字」に分解します。
これで、セリフの読まれる可能性を、高めることが可能です。
《重要な部分を最初に移動する》
重要な部分を最初に移動させると、文字数を減らせます。
【例】「俺は出会った時から 君が好きだ これからもずっと」(22文字)
【例】「君が好きだ これからもずっと」(13文字)
このセリフで最重要なのが、「君が好きだ」です。
「君が好きだ」を先頭にすると、余計なセリフは、自然と入れたくなくなります。(インパクトが弱くなるため)。
セリフの入れ替えだけで、文字数を節約する事は可能です。